山行水行

読んだ本の感想をぼちぼち

カラスの親指 / 道尾秀介

オーディブルで視聴

高評価だったのと、セールで安かったので購入

 

はじめの印象は意味不明なタイトル・・・何の事だ?と思っていた。

読んでいくと、カラスは詐欺師 

親指はその親(父)の事であろうと推測できた。

けれど最後の最後でそれだけでないもう一つの

解釈があることが分かったときは

やるなあ道尾秀介!と感心した。

 

あらすじ

詐欺師の竹沢竹夫(タケ)は過去に働いていた闇金業者からの

報復を恐れ世間から隠れるように生活をしていた。

竹沢は鍵屋で詐欺をしていた入川鉄巳(テツ)と

コンビを組んで生活をしている。

そんな二人のもとに、これまた詐欺で生活をしている少女まひろ、と

その姉のやひろ、やひろのボーイブレンドの貫太郎が転がり込んできて

共同生活を始めることになる。

タケ、テツ、まひろ、やひろは過去に闇金業者に人生を狂わされており

その復讐のために立ち上がることになる。

 

5人がそろったところは同居人コメディーになりそうで

がっかりしてたがそんなこともなく

ドキドキの復讐劇を展開してくれて安心した。

ただ無理に貫太郎はいらなかったかな?

あまりいいところがなかった気が・・。

 

序盤からはりめぐらされていた細かい伏線に、

ミステリー初心者の自分は気づくはずもなく読み進めていた。

終盤になって、ページ数が減ってくると

「このまま後日談で終わりか、まあ普通だったな

なんでこんなに評判がいいの?」

などと思っていた。

 

が・・よもやよもや

ラストで大どんでん返し!

「詐欺師怖いわ~」だけで終わりそうな感想を

見事ひっくり返してくれた。

細かいことはネタバレになるので

書けないのが口惜しいところ。

これは高評価もうなずける。

 

このままぜひ

続編のカエルの小指も読んでみたい。

それにしてもまた

このタイトルも意味不明なんだよな・・。  

 

 

 

 

 

 

AX  / 伊坂幸太郎

小説というものはほとんど読んでいなかった自分も

オーディオブック audibleを使いだして

小説の面白さが分かってくるようになってきた。

といっても1作品10時間近くかかる作品が多いので

面白くない作品は時間の無駄だ、

自然と評判のいい本を優先して聞くことになる。 

作家名をよく知っていない自分だが

伊坂幸太郎の名前は知っていたということで 

この作品 AX を購入して聞いてみた。

 

凄腕の殺し屋だが恐妻家という主人公「兜」

子供の克巳が生まれたころから組織を抜けたいと考えるようになる。

しかし簡単には抜けられない、家族に秘密を隠しながら生活を続ける姿と

殺し屋の姿との違いが面白い。

 

読んでみると ここまで兜が妻を恐れる必要があるのだろうかという

ところをものすごく感じた、子供の克巳にもあきれられているほどだったので

相当のものなのだろう。

こういうのは実際に結婚して家庭を持って見ないとわからないのだろうか

実際自分の周りにも嫁に気を使っているなと感じる既婚者も多いし

程度の違いこそあれ結婚生活はそんなものなのだろうか

自分が未婚なのでよくわからないのかもしれない。

そこはわからなくても 家庭を大切にしていることは読んでいても伝わってきた

同じような境遇のパパ友とも意気投合したり、子供のことで盛り上がったり・・

そういうところはいいお父さんなのだろうなと感じた。

 

物語の最後は結構さみしい終わり方で

こんな殺し屋本当にいるんじゃない?

と思わせてくれる作品だった。

 

 

AX アックス (角川文庫)

AX アックス (角川文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

ブッダは実は超クール 反応しない練習

 

 

草薙龍瞬著 反応しない練習

オーディブルで聞いてみた

最近はオーディブルで聞きながら作業をする

というのが習慣になっていろいろな本が聞けていいのだが

気を抜いているとあらすじが分からなくなったりするのが

弱点でなかなか集中力がいるのがなんともつらいところ

これのオーディブル版は著者の草薙龍瞬が朗読しているのが

素晴らしい、文字では伝えにくい細かいニュアンスも

音読されると伝わってくる気がする

 

日々の生活で気になることや

他人に言われたこと、人の行動などなど 

気になりだしたら止まらないことばかりの私

おかげで毎日もやもやして楽しくない生活も

この気にしない練習を読みトレーニングすることで

少しは楽になってくる

とにかく「なんとかなる」「考えすぎない」で

生きていこう。

 

内容的にも先日読んだ嫌われる勇気のアドラー心理学に似たところもあって

分かりやすい。

「反応しない」「判断しないこと」

これが今の自分には必要だ。

 

少年時代には難しかったな・・ 銀河鉄道の夜

ビジネス書ばかり読んでるのも疲れたので

そろそろ小説を読もうと 宮沢賢治銀河鉄道の夜

オーディブルで視聴してみた

 

数十年前の小学生時代に一度読んだ記憶があったけれど

当時はさっぱり意味が分からなかった

突然銀河鉄道に乗ったり、登場人物名がジョバンニ・カンパネルラとか

日本人名でないし、舞台がよく想像できないし、想像力のない

少年の私にはさっぱり理解できなかったことしか覚えていなかった。

 

それから数十年改めて聞き直すと、なるほどこれはファンタジー小説だったのか

と理解した。あの当時の私には空想世界っていうのが全く理解できなかったのだった。

物語としてはジョバンニとカンパネルラの友情物語かと思いきや

それほど深い描写はないし、ラストではカンパネルラが死んでしまったりと

悲しい内容だけれど、名作といわれるだけあって

読み込むと深いところが見えてきて

なかなかに面白い。これは少年時代の私には理解不能だろう

最後はハッピーエンドにならないところなんかは

なかなか好みだったが子供に読ませるには刺激的かもしれない。

オーディブル版はBGMも流れるので気分も盛り上がるのがいい

最近は毎日聞きながら眠ている。

見る読書 /榊原英輔

毎回本屋に行くたびに気になる本を購入しているが

読む時間がなくて、どんどん積読がたまっている

どうにかしないとなと思ってたところに

この本を見つけた。

この著者の本は初めて読んだのだけど、なかなか面白く

一気読みできた

 

 

 

本は「読む」ものではない。

本というのは「見る」ものだ

 

と考えている著者は、本の本質は次の3つから大体つかむという

 

「はしがき」や「はじめに」に書かれた著者の言葉

「あとがき」や「おわりに」書かれた著者の言葉

「目次」で、全体を小分けし見出しを付けて紹介された内容・構成

 

 

これらを「見る」ことで「さわり」をつかんで

目次から重要なところを読み取って

そのパートだけ読むという方法

 

これは私が最近本屋でやっていた手法だったので

別段目新しさはなかった。でもこの方法でもそこそこ時間がかかるので

結構疲れる。まあ体力がないだけかもしれないが。

それとこの方法は小説など物語性のあるものは使えない

ビジネス書や専門書、ハウツー本に使うテクニックになる

 

前半はこんなこんな感じなので特に印象に残らず物足りなかったが

後半が面白かった

大蔵省にいたということで経済関係のお話を読書法と絡めて

紹介されて、今まで自分の知らなかった

研究書がいろいろ紹介されていくので、

これらはこれからの選書の参考になった

とくに江戸時代から明治時代に絡めた司馬遼太郎小説の批判は面白かった

なかなかこんなことを書籍では書けないと思う。

 

全体的に前半よりも後半の経済関係のお話ほうが興味深く

さすが大蔵省出身だなと感じた

これを参考に

見る読書でどんどん積読をへらしていこうと思う。

 

 

 

見る読書 (ベスト新書)

見る読書 (ベスト新書)

  • 作者:榊原 英資
  • 発売日: 2018/07/07
  • メディア: 新書
 

 

 

 

面白いとは何か? 面白く生きるには?  森博嗣

最近どうも人生が面白くない

毎日毎日同じことの繰り返しで

なんのために生きてるの?なんて思い始めるようになり

最近自分でも軽い鬱症状だろうなあと思って暮らしている

 

自己啓発本など読んで気持ちを奮い起こしても

理想と現実のギャップで精神が疲労する毎日

ほんと何が面白いのだろ・・こんな人生

人間ってなんのために生きてんだろ

って自問自答しても結局答えのない日々

 

そんな落ち込む毎日の中疲れた自分に

刺さった本がコレ

面白いとは何か? 面白く生きるには?

 

面白いとは何か? 面白く生きるには? (ワニブックスPLUS新書)

面白いとは何か? 面白く生きるには? (ワニブックスPLUS新書)

 

 

面白いとは・・

可笑しい、興味深い、思い通りになる、手応えがある

動きがある、意外性、欲求を満たす

などという複数の要素がある

わかりやすいのがお笑い芸人の漫才などは

可笑しいという面白さに当たる。

自分はこの可笑しいということだけが

面白いということだと

考えて生きてきたところがあり

笑えることだけを求めて人生の面白さを

求めていたところがあった

 

自分は感情表現が下手なので人前で面白い話をしたり

大声で笑ったりすることができずにて

コレが人生をつまらなくしているのかと

考えていたのだが、どうもこの認識を改める必要がありそうだ

 

著者によると

物事を深く知り気付かされる事もまた

面白いという要素の一つである という。  

なので探究心の強い自分はこの興味深いという面白さを

愉しめば、鬱々とした毎日が開けてくるのではないのだろうか?

そんな事を考えた。

 

この本で面白かったのが

第4章の面白いについてのインタビュー

著者 森博嗣氏が編集者から受けたインタビューを載せているのだが

自分には無い考え方の方で非常に面白かった

Q 森さんが考える「面白く生きるコツ」は?

「面白い」生き方をするコツは、自分が「面白い」ことを思いつくことです

それさえ思い付けばあとは実行あるのみなのです。多くの人が、実行することが難しい

と考えているようですが、それは全く反対でしょう。実行することは、誰にだってできます。でも思いつけない、何をしたら良いのかわからないのです。ですから、そこを考えることが第一です

 

 

毎日が面白くない面白くないと言ってるなら

面白いことを探せ!考えろ!そして行動しろってこと

待っていても来ないなら自分から求める! 考え方を変えよう。

 

最後の方に寂しさ、孤独についても書かれていますが

この内容もとても心に響いた。

毎日が面白くないって感じていることも、少しは和らいだ

そんな気持ちになった一冊だ。

 

知らないと恥をかく世界の大問題10 池上彰

このシリーズももう10冊目

令和に入っても世界情勢はお構いなく

トランプ大統領をはじめ大国の覇権争いで

てんやわんや

 

特にイギリスのEU離脱はなかなか折り合いがつかず

今年の10月までお預けになっている

遠いEUのお話でだけれど、イギリス離脱となれば

必ずはるか離れた日本にも影響はやってくるはず。

怖いねえ

 

日本では消費税アップが迫り

景気の後退が危惧され、少子高齢化で年金も危ういし

隣国とも一触触発状態

まったくいいところがありません

 

そのほか中東のサウジアラビア、イランの問題

難民問題、次世代通信技術5G、人工知能AIの将来など

この本を読んでると

自分が井の中の蛙なのかがよくわかりますよ。