山行水行

読んだ本の感想をぼちぼち

この世界の片隅に 

 

 

 

こうの史代原作のアニメーション映画

この世界の片隅に」は去年劇場で

公開されました、

話題になっていたので

見たかった作品です。

なかなか見る時間がなく

上映期間が終了していたため

見られずじまいでした。

今回アマゾンビデオで

おすすめされたのを見て

まだ見ていなかったこの作品を

鑑賞してみました

 

1944年(昭和19年)2月広島から呉の

北篠家へ嫁いだ主人公すず 

そのすずの知らない人や、

なれない土地での

生活を描いた日常ものです

終戦まであと約一年半くらいです

当時の戦局はすでに日本が

押されているので

一般国民たちの生活にも

しっかりと影響しています

物語前半はまだ本土攻撃がないので

危機感少なく進んでいきます

しかし物語後半に入ると

空襲がすずの生活圏にも

起こるようになり

日々空襲警報が鳴り

防空壕に避難ということの

繰り返しです

そして終戦 無事生き残れた

すずは呉で暮らしていきます

 

 

まず惹かれるのが、すずさんの性格です

想像力が豊かで絵を描くのが得意

おっとりタイプであまり物怖じしない

戦時中という、暗い時代にも

カリカリしないで一緒にいて

心休まるようなタイプです

特に、劇中右手を失い

同時に一緒にいた義姉の娘

晴美を失ってしまったあたりは

つらかっただろうと思います

右手を失っていままで楽しんでいた

絵を描くこともできなくなり

娘の晴美を亡くした義姉からは

責められてしまい

すずさんは自責の念を抱きながら

生きていくことになってしまいます

もし自分ならこんなことになったら

とても生きていく気力は

無いなと感じます

実際すずも相当落ち込んで

実家に帰ることまで考えましたが

義姉に気持ちを理解され

とどまることにしました

お互いにお互いの立場を

理解しあうこと

これはその大切さがよく分かった

出来事でした。相手のことを

考える、自分のことばかり

考えているようでは

知らず他人を傷つけている

ということになりかねない

ということでしょう

 

もう一つ印象に残ったのは

作中の戦争描写でした

一般市民メインの作品なので

戦艦の砲撃戦描写などはなく

呉空襲が戦闘描写のメインです

このアニメーション作品は

その空襲の恐ろしさがよく出ています 

街中で避難場所のない中での

突然の空襲警報

街中に響き渡る

戦闘機の騒音 爆撃の光

飛び散って落ちてくる砲弾の破片

これらが実際に自分の目の前で

今起こったら・・・

なんて考えると

とても恐ろしいことです

対空砲火、焼夷弾 

ゼロ戦の空中戦など

今はもうフィクションの世界で見たり

聞いたりしている事柄が

この当時は日常でした

これを見て

改めて平和であること

そんな時代に生きていけることの

ありがたさをしみじみと

感じることができました

 

私は、そこそこ生きてきましたが

まだまだ死ぬほどつらい

心の痛み、生活の苦しみなどは 

経験したことはありません

それはとても幸せなことです

もちろん小さなストレスなんかは

ありますが命を脅かされるような

事柄ではありません

ストレス発散にジムで運動して

解消できるレベルです

この時代の人々は

この時代に生まれて生きている

というだけで戦争という

苦難を虐げられる人生を歩んでいます

 

この映画を見て

今この時代に

生きていることを感謝し

主人公すずのように

明るく一生懸命に

生きていきたい

改めてそう思いました。